2010年05月09日

日本サッカー(メディア)最大の危機

小学校3年生でサッカーを始めた私が、初めてW杯を意識して見たのは1986年のメキシコ大会。マラドーナの神の手や5人抜きのゴールはもちろんだが、最も印象に残っているのは準々決勝のブラジル−フランス戦。ケガから回復したブラジルの10番がついに途中出場を果たした鮮烈な印象が、今でも記憶に残っている。子供心に、ブラジルの10番=スーパースターというイメージがあったのだろう。

その後、日本でついにJリーグが開幕した1993年。まさかあの「ブラジルの10番」がJリーグを席巻することになろうとは想像だにしなかったが、日本もW杯へ、という気運が高まっていったことは間違いない。

それでも私は当時から、サッカーの「日本代表」を応援する気にはなれなかった。それは、以前から世界のサッカー情報により興味があったからなのかもしれない(1990年W杯イタリア大会の別冊サッカーマガジン6冊は今でも私の本棚にある)。日本のサッカーと、世界のサッカーとのあまりのレベルの差に気付いていたからなのかもしれない。

サッカーファンでありながら、アンチ日本代表を続けていた私は、周囲からは奇異の目で見られることもあったが、そのスタンスが変わることはなかった。W杯初出場を果たした1998年フランス大会以降ももちろん、W杯アジア予選を通しても、一貫して日本代表が負けることを願ってきた。

なぜ、私はこれほどまでに日本代表を嫌悪し続けてきたのか――今はその理由がはっきりと分かる。それは、日本サッカーの実状を正しく伝えようとしない、TVを中心とするメディアへの嫌悪感――いわゆるメディア批判だ。

私は、サッカー日本代表の敗北を直接的に願っていたのではなく、それを伝えるTV番組のアナウンサーやお抱え解説者の表情を切望していたのだ。実はそう強くもない日本代表をさんざん煽っておいて、負けた後はどの面下げてカメラの前で喋るのかと! 私は、日本代表の敗北を通して、弱腰な日本サッカーメディアの向上を願っていたのである。

日本のサッカーメディアに対するそんなスタンスを取り続けておよそ10余年――それまでの積年の鬱憤は割愛するが、そんな状況に思わぬ変化を感じたのは、2010年W杯南アフリカ大会が行われるワールドカップ・イヤーに突入した、まさに今年に入ってからであった。

東アジア選手権では中国に0−0、韓国に1−3。セルビアBチームとの国際親善試合では0−3。いずれもホームで行われながら結果が出せなかったこれらの試合では、スタジアムにはブーイングが鳴り響き、試合結果を伝える夜のスポーツニュースでも、一部ではついに岡田監督解任論が取り上げられているではないか。

それはまさに、今まで見たこともない光景(=私が切望していた光景)。これでようやく日本のサッカーも、世界基準の正しい在り方に近づくことができる。メディアの力を通して、日本のサッカーを正しい方向に導くことができる――私が溜飲を下げたことは言うまでもない。

なぜ私はこうも、日本のサッカーメディアを批判するのか。それはやはり、「日本のサッカーはまだまだ弱い」という実状を正しく伝えようとしないメディアの在り方と、そんな状況に安住して安易な代表監督選びを続ける日本サッカー協会の在り方に疑問を抱いているからだ。

W杯で結果を出すためには、世界基準な戦術眼を持った監督を招聘すれば良い――自らの都合やしがらみに捉われてそんな簡単な決断すらできない協会と、その点を何も追及しようとすらしないメディア。そしてそんな状況に何の疑問も感じようとしない、ある意味騙されている安易なサポータたち――私はそんな光景に本当に辟易していたのだ。

ついに日本サッカーの変革が訪れようとしている! ところがそんな淡い期待は、あっという間に消え去ることになる。岡田監督解任論は、大手メディアにおいては何事も無かったかのように一気にトーンダウン。協会に圧力を掛けるような影響力をなすことなく、ついに岡田監督によるW杯出場メンバー発表の日を迎えようとしている。

W杯南アフリカ大会までおよそ1ヶ月を前に、まもなく始まる日本代表メンバーの発表。そしておそらく惨敗に終わる予選リーグでの敗退。この間、日本のメディアはどんな論調で日本のサッカーを伝えるのであろうか。

W杯で予選敗退するのは、選手が悪いのではなく、岡田監督が悪いのでもなく、岡田監督を選んだ協会が悪いのでもなく、そんな協会の手法を許しているメディアの在り方が悪いのだ。このままでは、日本のサッカーは衰退の一途を辿ってしまう……。

これだけ情報が発達した現代において、日本のサッカーと世界のサッカーとがあまりに乖離していることに、気付いているサッカーファンも多いことであろう。その最たるものが、やはりメディアの在り方だ。

一部では、南アフリカ大会終了後にはギド・ブッフバルト氏の代表監督就任が報道されている――ほら、また始まった。協会の監督選びの手法を何一つ検証することなく、またブッフバルトというUEFAで何も結果を出していない人物の就任に疑問を抱こうともしない。これでは何も変わらないではないか。

W杯は下手をすれば0勝3敗での予選敗退。また国内のJリーグでも観客動員数の減少。その先の日本サッカーに光明はあるのか。その鍵を握るのが、協会やスポンサー(大企業)の意向に屈しないメディアの在り方だ。日本のメディアに、この危機を乗り越えるだけの行動力はあるのか――これからの数ヶ月、その点がまさに試されようとしている。

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miyanofu1204 at 22:45コメント(0)トラックバック(0)Football  

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