2010年01月19日

『サッカーを100倍楽しむための審判入門』

相当な期待を持って本書を読んだ。「マインドマップ的読書感想文(@smooth)」ばりに、かなりの付箋も貼って読み込んでみた。

審判 001

−マインドマップ的読書感想文
http://smoothfoxxx.livedoor.biz/

それでも読了後は、失望感しか残らなかった――だから日本の審判はダメなんだよ、と。

松崎氏は本書のなかでこう言っていた。「Jリーグや日本代表、もちろん海外や身近な試合も含めて、サッカーを今以上に楽しむためにも、審判のことをもっと知ってほしい。」

確かに始めて知る審判の実情も多々あった。でもそれ以上に、我々サポの意識とはあまりに乖離している部分が目立った。もっと我々サポのサッカー観にも耳を傾けてくれよ――そういう思いがより一層強くなった。

サッカーを100倍楽しむための審判入門サッカーを100倍楽しむための審判入門
著者:松崎 康弘
販売元:講談社
発売日:2009-12-22
おすすめ度:5.0
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◆ 余計な笛

日本の審判は余計な、無駄な笛が多過ぎる――私が以前から思っていることであるが、この点は松崎氏も認めている。

今シーズンのJ1・第30節までにおける、アクチュアルプレーイングタイムは55.9分――つまり、実際にピッチ上でプレイされていた時間は90分間のうち55.9分しかなく、残りの約35分はボールデットの状態であったとのこと。

これがスペインなどでは、プレーイングタイムが60分を越えることもあるという。それでも、Jリーグもこの時間は向上中であるという。

大事なのは、審判が「Wait & See」の意識を徹底してアドバンテージ等の判断を的確に下すことと、さらには選手の意識の向上だろう。

「日本だと、ファウルがあって選手が倒れると、審判はすぐに笛を吹きがちで、選手もそれを期待しているところがなきにしもあらず。審判はできる限りプレーを流し、選手を笛を待たない。そういうところはヨーロッパの審判に見習うべきところだと思う。」――まさにその通り!

ファウルをもらいにいく選手の動きは、たとえ応援しているチームの選手であっても、見ていて辟易するからね。ファウルをもらいにいくのではなく、テクニックでかわそうとする意識を選手は持って欲しい。

◆ Jの審判評価制度

本書では、審判に対する厳密な評価制度も紹介されていた。その厳しさは充分に伝わってきたが、その結果……。

「50歳定年制度廃止の適用第1号となった岡田正義は2009年5月で51歳になったが、依然、高い評価を保っている。」

「2009年シーズンで見ると、この「点数」の高い主審は、西村雄一、岡田正義、吉田寿光、扇谷健司……。」

私は以前から何度も、Jリーグの審判の判断基準そのものが間違っていると言い続けてきた。ここに挙がっている審判の名前を見ると、それを再認識せざるを得ない。審判の評価基準そのものが間違っている!

審判を評価する審判アセッサーは全部で約80人いるとのこと――彼らのサッカー観そのものがズレているに違いない。松崎氏もこう認めている――「アセッサーのレベルアップは、喫緊の課題だ」と。

そのための対応も、いろいろ練られてはいるようである。西村主審は審判交流プログラムでポーランドでも笛を吹いてきたようだし、元プレミアリーグ審判のアラン・ウィルキー氏とも、トップレフェリーインストラクターの契約を結んでいるという。こういった施策をどんどん実施して欲しい。どうせなら、審判の採点を選手やサポのからも募って公開すれば良いのに!

◆ 審判の情報発信

判定に関するクラブからの意見書に関して、「どんな回答をしたかは公表しておらず、その回答についてクラブも公表しないので、内容がメディアで報道されることも基本的にはない」「審判は試合後、報道陣の取材には答えてはいけない規則になっている」――こういった要因こそが、「審判に関することはすべて「密室」で決められているという批判」に繋がっているのではないだろうか。

松崎氏は、審判が自身の判定に関する見解を述べる場があってもいいのではないかと考えているようだ。ただし、こう結んでいる――「しかしながら、これは将来の話。相当先でも難しいかもしれない。日本のサッカー文化は、審判のミスを許容できるまでには成熟していない」と。

私はこう言い返したい――サポのサッカーを見る眼は肥えている。「誤審を含めたサッカー文化」――そんなことは言われなくとも分かっている。それよりも、毎回毎回、同じ審判が同じミスジャッジを繰り返す現状を許容できるほど、サポのサッカー観は軽薄ではないと。

サポの不満を解消するための、審判団からの積極的な情報発信――是非とも期待したいものである。

◆日本サッカーの向上と審判

「「Jリーグの審判は、レベルが低い」とよく言われる。しかし、基本的にその国のサッカーレベルと審判のレベルは同等である」――まぁこれは同意しよう。

「岡田武史監督率いる日本代表は2010年のFIFAワールドカップ・南アフリカ大会でベスト4を目標にしているが、日本の代表がコンスタントに世界のベスト4に入れるようになったら、日本の審判のレベルも世界のベスト4になるのだと思う」――何と呑気なことを言っているのか!

最近たまたま読んでいた「Number」744号のなかで、バルセロナの元カンテラ監督ジョアン・サルバンス氏が、こんな事を言っていた!

「あとは笛の吹き方が日本のサッカーのレベルに大きく関わっていることを審判の方々は肝に銘じてほしいですね。」

Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2010年 1/7号 [雑誌]Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2010年 1/7号 [雑誌]
販売元:文藝春秋
発売日:2009-12-24
おすすめ度:4.0
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私は、スタジアムに足を運ぶ――これからピッチで繰り広げられるであろう我がチームの戦いに期待しながら。スタジアムに着き、マッチデイプログラムや携帯サイトを通して、その日のスタメン、そして主審の名前を確認する。

主審の欄に、(前述したような)評判の悪い名前があったときの、あの嫌な胸騒ぎ……。そんな嫌な要素が取り除かれる日が、果たして来るのであろうか――審判団の、さらなる意識改革を期待せずにはいられないのである。

ブログ村 柏レイソル


miyanofu1204 at 01:06コメント(9)トラックバック(0)Book Review  

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コメント一覧

1. Posted by 飽きた   2010年01月19日 08:14
1 審判批判の記事も最初こそ面白く読めていたが、ここまでしつこく批判してると気持ち悪く見える。
クドイしウザイし気持ち悪い。
もう二度とこのブログには来ないと思う。
2. Posted by ミヤノフ   2010年01月19日 18:55
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、ただ批判ばかり繰り返すのはよくないと、私自身も思っています。
だからこそ、この本は貪るように読みました。
付箋も貼って、重要と思われる箇所は何度も繰り返し読みました。
それでもやはり、この著者の考えを受け入れることはできなかったんですよね。
こんなんじゃ何も変わらないよ、と結局はそこに行き着いてしまいました。
これからもまた勉強して、日本の審判に関する新たな視点を構築していきたいと考えています。
3. Posted by 飽きない   2010年01月21日 10:35
問題があるのだから指摘されて然るべき。
指摘の声がなくなったら改善への道が遠くなる。

面白いエントリーでした。
審判の話を聞くと、多くの場合、まず自己を肯定することから始まります。実際やってみると難しいですし、プロ審判がどれだけ高いレベルなのかもわかりますが、自らを限ってしまっては、それより上のレベルにはいけません。
個人的には、審判技術よりもそういうメンタルに問題があると思います。
批判の声に晒されてることが、そういうメンタルを改善させることになってほしいです。


海外でもリーグごとに審判基準の傾向があるように、日本の基準ができるためには、そういう議論の場が必要だと思います。
審判もサッカー文化を構成する重要な一部なのだから、そこの議論なくして日本サッカーの成熟などあり得ない。
4. Posted by ミヤノフ   2010年01月21日 22:35
コメントありがとうございます。
特に審判に関する課題が山積なのは、誰の目にも明らかですよね。
折りしも先日、岡田正義氏のさらなる定年延長が発表されました。
「高い評価を得ている」って、審判アセッサーのその評価基準そのものがズレているのではないかと思えてしまいます。
はっきり言って、「審判批判キャンペーン」の論陣を張っています。
またご意見よろしくお願い致します。
5. Posted by 審判初心者   2010年04月15日 12:26
3 批判してはいけないと、言う気は全く有りません。ただ、そこまで不満なら自分がやってみたらどうでしょう?また、違った見え方が見えるようになると思いますが?現状が不満でたまらないのなら、自分の納得いくような審判になって自分で変えてみては?何のアクションも起こさずに人の批判をするのは滑稽にしか見えません?
6. Posted by ミヤノフ   2010年04月17日 16:09
審判初心者さん、コメントありがとうございます。
私は毎回、決して安くはない交通費と、そして「チケット」を購入してスタジアムに足を運んでいます。
お金を払っている以上、そのお金の価値を向上させる(=いい試合を見たい)ためにも、批判をする権利はあると思っています。
今シーズンも、Jリーグ審判が吹く笛のあまりの低レベルさには辟易しています。
現状を変えるべく私にできることは、こうした情報発信です。
ダメなものはダメ――審判批判はこれからも続けていきます。
7. Posted by 審判初心者   2010年04月18日 17:21
批判をすることによって、レベルの向上があるならそれはいい事だと思います。前回も言いましたが批判する事を否定する気は全く有りません。単純に目線を変えてみる為に、実際に審判をやってみるっていうのは、ありなんじゃないかなと思います。
自分も最近審判を始めたばかりだけど、実際にピッチにたって笛を吹いてみたら、いろいろ難しい事にも築かされましたので、ぜひ審判免許を取ってみてやってみるのは悪くないんじゃないかなと思いますよ。
ただ、自分もサッカーにかかわる人間としては、日本のサッカーのレベルがあらゆる面で向上するためには、いろんな意見があるのは非常にいい事だとは思いますけど。一番怖いのはみんなが無関心になることだと思いますんで・・・
8. Posted by ミヤノフ   2010年04月19日 01:17
審判初心者さん、再度のコメントありがとうございます!
確かに本書を読了直後は、自分ももう少し審判の勉強をしてやろうかという気持ちにはなりました。
私自身も実際にサッカーに触れる機会はあり、たまに審判をやることもあります(免許はありませんが)。
その際に心掛けていることは、「余計は笛は吹かない」!
その方が妙味があるように感じています。
まっ、実際にはなかなか難しいのですけどね。
それでも、Jの審判の感覚は未だに全然信用できないですね。
彼らにこそ、もっとサッカーを見ろと言いたいです。
9. Posted by 水玉・ドット水着   2014年12月22日 03:50
521318102ベルの音見」間で8102ベルの音

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